12月3日 日本福祉大学 シンポジウムSTEP 報告内容

「愛知教育大学の大変革」

愛知教育大学 聴覚言語障害児教育教員養成課程2年 今村彩子


 愛知教育大学の障害学生の授業環境は、私が入学した3年前と今を比べるとずいぶんよい環境になってきている。それは、障害学生が増えたことが大きな要因と思う。現在は障害のある学生5名が在学しているが、そのうち聴覚障害学生は私を含め3名、車椅子使用の肢体不自由者、声帯に障害を持っている者それぞれ1名。聴覚障害学生に対しては、手話通訳による講義保障がされている。ノートテイクは同じ講義を取っている友達にボランティアでお願いしている。しかし、ノートテイクはディベートになると先生の説明や学生の発言に追いつけず、討論に参加できない。ディベートにも参加できるためにはリアルタイムの通訳が必要だ。それで手話通訳をつけてほしいという思いが強くなり、今年6月に障害児教育の教官に相談した。その結果、教務委員会で『手話通訳による講義保障』が承認され、7月より学外から手話通訳者を派遣してもらっている。現在手話通訳がついている講義は週3コマで1講義(90分)に2名の手話通訳者がついている。謝礼は大学側から支払われている。
 毎週水曜日、有志の学生が集まって手話討論会が行われている。聴覚障害者に会ってインタビューし、それを討論会で発表、討論という内容だ。だから、学生はインタビューの前に自分で手話を調らべたり、予備知識を準備しなくてはならず、大変かもしれないが、学内だけの聴覚障害学生だけでなく、他の聴覚障害者と触れ合うきっかけになり生きた手話を身につけられる。学生もやりがいを感じているようだ。そのうち学生の中にも日常会話程度の手話ができ、こんご、学生の中から手話通訳が可能な学生が現れるだろう。また、新しい試みとしてノートパソコンによる講義保障も行われている。ノートテイクと同じ要領で紙がノートパソコンになるだけのことであるが、ノートテイクよりも情報量が多く、先生の語尾や方言も記録できるので一層分かりやすくなった。
 講義保障以外の支援として、学生寮で生活する聴覚障害学生には、個室にFAXを設置することが許可されている。機器の購入や使用料金などは学生負担だが、電話回線の引き込み工事については大学側が対応した。
 肢体不自由学生のためには、学内のハード面による改革がなされている。校舎や生協、図書館のエレベーター、車椅子用トイレの設置工事が進んでいる。駐車場には車椅子専用のスペースができた。
 このように本学では、障害学生に対する人的支援、施設設備などが進んでいるが、組織的な支援体制の確立、専門知識を有するノートテイカーや学生による手話通訳者としての養成の対応が遅れていて解決すべき問題はまだ多い。

 

シンポジスト報告へ戻る