〜主催者挨拶〜

 

"STEP"実行委員長より    (日本福祉大学経済学部経済学科3年 稲川直志)

日本福祉大学学長より     (日本福祉大学学長 諏訪兼位)

障害学生支援センター長より  (日本福祉大学障害学生支援センター長 斎藤文夫)

学生部長より           (日本福祉大学学生部長 近藤直子)


 


初めの一歩!大きな一歩!

日本福祉大学“STEP”実行委員長  稲川 直志

 

  みなさんこんにちは。
  みなさんの大学生活は充実していますか?
近年、全国的に大学への進学を希望する障害学生が増えてきています。多くの大学では、こうした傾向を受けて、障害学生受け入れの条件整備に向けて検討が始められているようですが、安全確保を含むキャンパスのバリアフリー化や学習上の配慮、学内での生活、課外活動などの支援・援助はまだまだ不十分なのが現状です。
  私自身も肢体不自由学生の一人で、かつて他の大学を受験しようとしていた時に、事前の受験相談で、自分の障害の状態を話したところ、大学の施設・設備等が未整備で受け入れできる状況にないことを理由に断られた経験をもっています。現在は日本福祉大学の3年生として学生生活を送っていますが、福祉大といえども、障害学生への支援・援助は決して万全なものではありません。そうした不十分さを解決し、改善していくためには、私たちが、日常的に感じている不便さを声に出していくことが大切であると考えています。
  昨年、障害学生支援センターで実施された「1999 高等教育機関における障害学生の受け入れに関する調査」のお手伝いをしました。その調査の結果からは、本学にはない支援制度を充実させている大学があったり、本学との共通の課題、問題意識を持つ大学や改善策を模索している大学の存在がはっきりしてきました。私たちは、こうした状況から、各大学独自に取り組まれている障害学生支援の現状について大学間で情報や意見を交換する場を設定したいと考えました。
  この“STEP”では、以下の三点をねらいとし、
 1)各大学間の学生生活における障害学生支援の現状(施設等のハード面、体制・制度等のソフト面、ボランティア活動、障害学生個々の取り組み等)について情報交換し、互いの理解を深める。
 2)現状における問題・課題を把握し、改善に向けた取り組みの糸口を見出す
 3)参加者の相互交流・関係を深め、将来的に支援・協力のできる大学間交流をめざす取り組みの一環とする。
みなさんの積極的で前向きな参加を期待しています。
  このシンポジウムが、各大学における障害学生を取り巻く環境改善への取り組み、および学生、教職員、大学間交流のネットワークづくりの「はじめの一歩=“STEP”」となること、さらに次の段階へのステップにつながることを願っています。

 

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“STEP”シンポジウムの御成功を願って

日本福祉大学 学長   諏訪 兼位

  12月2日(土)、12月3日(日)の2日間、私共日本福祉大学美浜キャンパスにおいて、“STEP”シンポジウムが開催されます。障害をもつ学生の大学生活をどのように支援しているかについて、多くの方々の情報を交換し、お互いの理解を深め、さらに大学間の交流を深めようという、大変意義のあるシンポジウムです。御講演いただく小島直子さん、シンポジストをお引き受けいただいた和光大学・四国学院大学・愛知教育大学・日本福祉大学の皆さん、そして、このシンポジウムに全国からお集まりいただきました皆さんに心から御礼申し上げます。
 私共の大学は、1953年(昭和28年)に、中部社会事業短期大学として名古屋市に創立されました。本学の教育標語「万人の福祉のために真実と慈愛と献身を」は、大学の創立者である鈴木修学先生の建学の精神をふまえたものです。大学発足時から、当時としてはかなり重度な肢体不自由学生を受け入れており、障害があるというだけで受験ができない大学が多かった当時としては、注目すべきことでした。
 1957年に4年制の大学 日本福祉大学に発展いたし、わが国でははじめての4年制の社会福祉学部が誕生しました。つづいて短期大学部が誕生しました。1970年代にはいると障害学生に関して、大学としての意識的な対応がはじまりました。そして、経済学部が誕生しました。1980年代にはいると、名古屋から美浜キャンパスへの総合移転が行われ、バリアフリー化が推進されました。障害学生の入学が増え、障害学生数が130名に達したこともありました。
 1990年代にはいると、「障害学生問題特別委員会」が設けられ、「障害学生委員会」の活動がはじまりました。短期大学部が廃止され、情報社会科学部が誕生しました。1998年に「障害学生支援センター」が大学の付属機関として設置され、障害学生の支援を総合的に進めることになりました。
 本学では現在までに、4万3000人の卒業生を世に送り出し、そのうち3万人近くが、わが国の社会福祉事業の中核的役割を果たしています。現在、社会福祉学部・経済学部・情報社会科学部の3つの学部に6,457人の学生が学んでいます。そのうち93人が障害学生が勉学にいそしんでいます。
 美浜キャンパスの玄関口である、名鉄知多奥田駅がバリアフリー駅として、2001年に生まれ変わることになりました。障害学生をはじめ全学の学生・教職員がみんな喜んでいます。
 おわりに、今回の“STEP”シンポジウムの御成功を心から願って私の挨拶と致します。

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シンポジウム“STEP”を開催するにあたって

日本福祉大学障害学生支援センター長  斎藤 文夫


 「学生生活における障害学生支援の現状とあり方について語る シンポジウム“STEP”」にご参加いただきました皆様に対しまして、共同主催者の一員としてお礼とご挨拶申し上げます。
 21世紀には全国の大学で障害学生の受け入れが進んでいくと思われます。しかし、各大学が単独で万全の体制を整えられるはずもありません。私たちは各大学での貴重な経験を相互に学び合い、障害学生の願いに応えられる高等教育機関としての体制整備を進めていきたいと願っております。その一助となることを願いましてこの催しを企画いたしました。
 この企画の契機となりましたのは、昨年度私どもが実施しました「高等教育機関における障害学生の受け入れに関する調査」の現地調査として和光大学を訪問した折り、両校の学生が交流会を持ったことに始まります。各大学それぞれに歴史や条件が異なり、それに応じて理念や工夫にも特色があります。それらを相互に学び合うことが大変重要なのだと気づかさせていただくことができました。
 本学は入学試験に合格した学生は全て入学を認めてまいりました。しかしそれは受け入れる側として十分な体制が整っているわけではありません。このような状態でしかありませんが、『それで良かったらおいでください。私どもは問題解決のために一緒に考えていく姿勢ではおります』という立場です。入試の配慮をはじめ、入試前からの事前相談の体制も整え、飾ることのない本学の実態を見てもらい、また希望に応じて在学中の障害学生を紹介して詳しい学生生活の様子を聞く場を提供しています。この段階までで進学を断念せざるを得ない人も多いかと思われますが、次第に重度の障害学生も入学するようになってまいりました。大学としても常に勉学条件の改善に迫られる課題に直面することでもありますが、残念ながら勉学半ばに辞めていく学生もありました。本学の障害学生支援センターの設立は、障害学生を受け入れた大学として勉学条件の支援体制を整備していくその一歩を踏み出したに過ぎません。
 この催しは障害学生支援センターと企画実行委員会との共同で開催いたしております。
 本学は障害学生支援センターを単なるサービスの受け手ではなく、課題解決に共に取り組むパートナーとして位置づけ、支援センターの諸活動を学生と共同して取り組んでまいりました。とりわけ本催しは障害学生が軸となる企画実行委員会が中心となって準備をすすめてまいりました。本日からの運営もまた主に学生たちによるものです。

 皆さまをお迎えする十分な体制とは申せませんが、運営につきましてお気づきの点がございましたらご忌憚のないご意見をお寄せいただき、本催しが実り多いものとなりますよう皆さま方のご協力をお願い申し上げ、歓迎のご挨拶といたします。

 

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美浜の地から全国へ

日本福祉大学学生部長  近藤 直子


 日本福祉大学障害学生支援センターが開設されて3年。開設以前より今日まで、障害をもつ学生やボランティア学生とともに、龍谷大学や和光大学への訪問、中部地域の大学への実態調査、そして障害学生からの要請に基づきいろいろな集会へ出掛け、他大学の障害学生との交流に取り組んできましたが、今回さらにステップアップして、他大学の方々とともに障害学生支援を考えあうシンポジウムを支援センターと学生たちとの手で開催することができました。
 私自身は1991年より、本学の職務として障害学生問題に携わってきましたが、中部地域の障害学生問題のセンターとなれる「障害学生支援センターを」と考えてきただけに今回のシンポジウムの開催を心より嬉しく思っています。本学の障害学生支援の基本は、障害学生を「支援される」受け身の存在としてではなく、障害学生とともに支援施策を構築していくことにあります。今回の企画も、障害学生、ボランティア学生、そして支援センター運営委員の教職員が四苦八苦しながら取り組んできました。そうした取り組み自体を他大学の皆さんと交流できれば幸いです。
 2日間の交流を通して新たな出会いと発見を。そして21世紀に向けて新たなステップを踏み出しましょう。

 

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