分科会2 『大学施設および肢体不自由学生問題について考える会』報告内容


日本福祉大学の学内施設と肢体不自由学生の生活


日本福祉大学経済学部経営開発学科1年  浅井 雄紀

 

 日本福祉大学には、色々な障害を持った学生がいる。例えば、肢体不自由、聴覚障害、視覚障害などといった学生がいる。まず最初に、学内の施設・設備の現状そしてそのなかで生じる問題点について述べるとしよう。

1. トイレ
 トイレについて言えば、ほとんどのトイレにおいて、介助者が尿瓶を洗うシンクがない。すなわち洗面所と共有では衛生面においてよくないのであるが、尿瓶を洗わないと尿感染をするおそれがあるので、尿瓶をつかう人のためにつけて欲しいと思う。そして、ウォッシュレット化したということである。こうしたことによって摘便をする時はすごく楽になった。が、しかし、そのなかで配慮をする箇所がある。トイレに関しては3つある。一つ目は、車椅子から便器に移る際、縦の手すりが必要。二つ目は、洗面所の蛇口ノブが短く、車椅子利用の学生の手が届かない。三つ目は、手すり付の洗面台は、手すりが利用者によって便利・不便があり、全障害者向きではないということだ。

2. 講義棟、その他教室
 大講義棟について言えば、出入り口の扉付近にある建物構造上の支柱が車椅子通行の妨げとなっている。そのため、扉が開き戸のため扉自体にかなりの重さがあって荷物がある場合大変であるので扉の改善が必要である。後部車椅子席は、傾斜位置にあるため、車椅子の輪止めが必要となる。これは本来、車椅子席としてふさわしい設置位置ではないため、障害学生はもちろん、介助者用のパイプ椅子が滑るため、ともに座位が安定しないのだ。ここでの配慮する点は2つある。一つ目は、介助者用のパイプ椅子、ノートテイカー用の暗室時のライトなど、備品が適切に管理・保管されていない。二つ目は、上下移動の車椅子専用机が適切に保管されていなくて、障害者用マークのシールが貼られていない。その机を使用しようとするとチョークの粉で汚れている。英語やゼミなどで使う教室(LL・PC教室)については、後部車椅子席の引き出しと取り外す必要がある。クラッチ使用の学生は靴の履き替えが困難。そして、車椅子移動時にカーペットがめくれる。次に、大講義棟からエレベータ棟までの通路についていえば、水溜りができ、滑りやすいため床素材の張替えが求められる(雨の日は注意しなければならないから)。

3.エレベータ
 エレベータは障害者専用かと思ったらそれは大きなまちがいだ。大半が健常者が使用している時のほうが多いと思う。あとはトイレの数をもっともっと増やして欲しい。スロープにしてほしい。エレベータも数を多くして欲しい。と僕たちは学校側に望んでいる。学校には、あまり障害者に対しての情報量が少ないような気がする。もっとほかの所から情報をもらうべきだ。そうした障害者のための情報をもっと集めなければいけないと思う。そうしたら学校が全体的に発展し変わってきて、障害者の人たちにとってよい環境になるのではないか。僕たちは、健常者よりハンデを負っている分、環境的にも何事にも不利な状況である。したがって、健常者たちの一声でも障害者たちを助けることができるのではないか。この学校やほかの場所でも障害者にとって利用しやすいものへと変えていけば障害者は安心感をもって生活がしやすいのではないかと考える。

4. 履修問題
 履修上での問題点は、例えばスポーツの講義をとったと仮定しよう。その中でも、我々みたいな障害者でも健常者と同じように楽しもうとするとすごく難しいのである。僕は、テニスの講義をとっていた。でも、体育館みたいな床があれば楽しくプレーできていたが、ほとんど外のテニスコートでやっていた上に、そこがまた、車椅子利用者にとってプレーしにくい土であったためとても不便に感じた。室内競技ならともかく屋外競技はとても不便に感じた。
 その他で言えば、テストのことである。自分でうまくシャープペンが握れない学生によって、時間の関係やテストの出題方式などの改善することによって、より障害学生にとってよい環境をつくることができるのではないか。
 僕は、スポーツ以外での講義は困ることはないが、僕以外の学生の中には、両方とも困る人がきっといる。学校側に望んでいることは、履修上で困っている障害学生のために履修上改善をすることを求める。

5. 学外における日常生活
 最も障害学生の困っている通学・日常生活上の現状と課題について言えば、この日本福祉大学に在籍している障害学生の中に車を運転して通学する学生は少なく、ほとんど車椅子での通学が多い。例えば、電車通学をしようとすると、日本福祉大学の近くにある「知多奥田駅」には、スロープもなく、エレベータもなく、ただ階段しかないところでの通学は無理に近いであろう。そこに介助を手伝ってくれる人がいればなんとかなるかもしれないが、あまり人がいない。僕が以前に知多奥田駅を利用した時に、駅員さんに「手伝ってほしいんですけど・・・」と言ったら、駅員さんはその場では手伝ってくれたが、その時、駅員の表情を見たら、めんどくさそうに嫌な顔をしていたのを僕は記憶している。無理に手伝ってなんて言ってないのに、使う側としてもとても嫌だった。その時に、誰って思うことが「車があればなぁ・・・?」と思うであろう。これが、通学するのに起こる問題である。
 日常生活では、下宿している障害学生は自分にとって住みやすい環境であるが、また、医療機関があるかということに、皆、注目していると思う。住みやすい環境について言えば、まずスロープがあるか?またはそこにスロープをつけてもよいか?または、トイレやお風呂を改造してもよいか?などといった問題が生じてくる。
 僕の下宿は、スロープをつけてトイレや風呂場に板がうめこんである。さらに、車を持っているから自分専用の駐車場(1.5台分のスペース)をつくってもらった。しかし、車椅子を利用している障害学生にとって十分なスペースがないため、方向転換が難しいのである。戸棚とかも高いので、上の方にある物がとれない。さらにスーパーとかに買い物に行っても同じことである。品物を持つにしても手で車椅子をこがなければいけないので、買ったものを落としてしまう。だから、一人でいくと大変なのだ。日常生活の中でこれからのことが大変になってくる。

6. 課外活動、他
 僕個人の意見としては、僕は車椅子バスケットをやっているが、体育館の一つがなかなか見つからない。それは、まず障害者トイレが完備されているかどうか?である。今、僕がやっている車椅子バスケットは、とても激しく、よく転倒もするので、体育館のコートに傷がつくのであまりよくないと言われている。でも、車椅子バスケットは屋内スポーツのため、仕方がないのではないかと僕は思う。ほかには飲食店によく行くのだが、スロープがないところが多く、また、二階にあったり地下だったりするので、エレベータがあれば別なのだが、無いところが多いというのが現状である。ファミリーレストランは別に、他の店はスロープがないのである。障害者でも入れることができる店が増えれば、生活の中ではあまり困らないと思われるのだが・・・。でも、最近では車椅子でも入れることが可能な店がどんどん少しずつだが増えてきているような気がする。
 今後、日本の国全体が取り組まなければいけないことは、僕が所属している「障害者スポーツ研究会アミューズクラブ」というところで、「心のバリアフリー」すなわち障害者への意識変化について学んだが、全くそのとおりなのではないかと思う。したがって、障害者一人一人のニーズに合わせなければいけないと思う。もちろん、障害者にとって良い環境をつくることも大切だが、障害者の立場にたって、物事を考えて判断しなければいけないのではないか。僕は、障害者のことを理解し、その人のニーズに合わせて、よい環境をつくってくれると考えている。

 

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