<ノートテイク・サービス制度制定までの流れ>
1.1995年度より特別推薦入学制度が実施され、身体障害者枠が設けられた。それ以前も障害をもつ学生の入学はあったが、これを機に本学に入学してくる障害を持つ学生が増加。
*特別推薦入試制度
四国学院大学は1995年より、「特別推薦入試制度」をスタートさせた。「特別推薦入学選考制度」には7つの入学枠があり、それらの内で「被差別部落出身者特別推薦入学選考」「被差別少数者特別入学選考(在日韓国・朝鮮人・アイヌ・沖縄人及び奄美諸島出身者その他現代日本における被差別少数者)」身体障害者特別推薦入学選考」の3つはアファーマティブ・アクションの考え方に基づいている。アファーマティブ・アクションは人種的マイノリティ・女性・障害者等に対する社会的差別を是正するために、雇用や高等教育において、それらの人々を積極的に登用・選抜する事・またそれを推進することが見込まれている。
2.聴覚障害をもつ学生は聞こえないために講義がわからない。
3.同じ悩みを持つ学生が集まり、話し合いその上でまとまった要望を身体障害者委員会に提出。
4.1998年度「ノートテイク・サービス試行制度」設定
5.1999年度より「ノートテイク・サービス制度」スタート
<ノートテイク・サービス制度の目的>
四国学院大学・短期大学に学ぶ障害をもつ学生が、ノーマライゼーションと機会均等の理念のもとに、講義を受ける権利を保障することを目的として、1998年度に1年間の「ノートテイク・サービス試行制度」を経て、1999年度より開始。具体的には、講義における情報とコミュニケーションの保証を実現していくことを目標としている。
<ノートテイク・サービス制度の概要>
(1)期間・・・4月1日から翌3月末まで
(2)契約・・・ノートテイク・サービスの利用を希望する学生とノートテイカーとしてアルバイト勤務することを希望する学生がそれぞれに登録を行い、ノートテイク・サービス制度運営委員会が調整をし、利用希望者・テイカー希望者両者の合意の上で契約を行う。
(3)日雇給・・・1コマ90分のノートテイクに対し990円・月単位で支給
(4)運営・・・ノートテイク・サービス制度実施主体=身体障害者委員会
運営主体=ノートテイク・サービス制度運営委員会
(5)代替勤務・・・登録時に申請のあった勤務可能な時間の枠の中で、代替可能なテイカーとして代替勤務に協力しなければならない。
(6)契約変更・・・やむを得ない理由があると運営委員会判断した場合、利用契約・アルバイト契約の変更が行われる。
(7)懇談会・・・本制度の運営に関して、当事者参加の視点から問題提起を行い、かつ利用者・ノートテイカーそれぞれにおける相互支援の機能を果たす場。利用者・テイカーの両方で月1回開催され、その結果運営委員会に報告・提案している。
<現状と課題>
1.ノートテイク・テイク制度の現状の課題
(1)利用できるコマに上限があるため登録を希望したコマ全てに対応し切れていない
課題:利用者が登録した全コマテイカーを派遣できるよう上限をさだめないようにし、またその為人員・予算を確保することが課題である。また、それに見合うテイカー数の確保が至上命題となる。
(2)1人の利用者につきテイカー1人でノートテイクを行っているため、負担が大きくテイカー希望者も減少傾向にある。
→課題:来年度も利用者が増加することが見込まれているため、テイカーの十分な確保は重大な課題である。1人の利用者につき2人のテイカーを派遣しテイカーの負担を減らすこと、またその為の人員・予算確保も重要な課題である。
(3)教員の理解・協力が不十分である。
→課題:テイカーが聞き取りやすいようにマイクを使いはっきりはなしてもらう・できる限り板書をしてもらう・レジュメを作ってもらうなどの協力を呼びかけ、教員の認識を高め、協力を得られるように働きかけていく必要がある。ただし、非常勤教員への働きかけには限界が大きい。
(4)福祉実習・ゼミ合宿などの講義以外のノートテイク保障がなされていない。
→課題:授業に関係がある限り、ノートテイクが必要な場合は全てにおいて派遣できるようにする、またその為の人員・予算を確保することが課題である。
(5)利用者懇談会・運営委員会への利用者の参加が少なく、積極性が見られない。
→課題:日頃から利用者とテイカーがコミュニケーションを取り、サービスについて積極的に意見交換できる関係を築いていく・利用者自身がリーダーシップを取っていくことの必要性を促し、サポート体制を作っていくことが課題である。
(6)本制度の予算が充分ではないため、あらゆる点で金銭面での制限がある。
→課題:この制度の重要性を大学側に認識してもらい、充分な予算を確保できるよう要求していくことが大きな課題である。
2特別推薦入試に伴なう障害を持つ学生の受け入れに関する現状と課題
(1)障害をもつ学生の自己の権利保障に対する消極的対応
→課題:障害をもつ学生自らの意志で既存のサービスを利用したり、改善を図ってもらえるよう訴えかけられたりするような力を身につけてもらうために、自立生活に関する講習会を行ったり、障害をもつ学生のセルフヘルプグループを設け話し合える場を作る、また彼らの相談に応じると言った「障害をもつ学生の自立生活支援試行制度」の立ち上げを積極的に展開していくべきだと考えている。
(2)障害をもつ学生のキャンパス内での身辺介助システムの不備
→課題:善通寺市内に住む障害をもつ学生の送り迎え、キャンパス内での食事・トイレ介助、学習時の介助を行う「アテンダント・サービス試行制度」の立ち上げを検討している。
(3)学内施設をバリアフリー化が充分ではない。
→課題:様々な学内設備について、障害をもつ学生本人に直接利用してもらい、不備や改善点を見つけ
だして対応可能なものについてその改善を求めていく。 |