12月3日 日本福祉大学 シンポジウムSTEP 報告内容

「和光大学における障害者の環境」

 

和光大学人間関係学部人間関係学科3年 田口文子


<はじめに>

  和光大学では盲、聾、肢体不自由等さまざまな障害を持つ学生が学んでいます。それぞれの学生の生活状況や要求は個人または障害の種類・程度により異なってきます。そこで、障害学生に学内生活に関するアンケートを行いました。和光大学の障害学生の現状としてここに報告します。

<アンケートの結果>

1 あなたが今,学生生活においてお困りの点,不便な点はありますか?また、それに対する保障としてぜひこうしてほしいという意見はありますか?

・手話通訳を日本手話と日本語対応手話のどちらで行うかを選択できる方法の保障を してほしい。
・講義のときの情報保障だけでなく、先生との相談、または学生生活課、教務課と相談するときも情報の保障をしてほしい。
・ノートティクだけでなく、手話通訳の導入も保障をしてほしい。
・ノートティクだけで講義の内容はだいたい30%くらいしかわからない。講義らしい講義を受けているとはとてもいえない。
・プロゼミ、講演会のとき、同時通訳のOHP、手話通訳(日本手話と日本語対応手話の選択を可能にすることを前提として。)の保障をしてほしい。ノートティクでは限界がある。プロゼミなどの討論がいい例になっている。
・各講義で重要な事柄(出席確認、テストの日程、レポートの内容等)は聾者にも分かりやすく伝えれるように努めて欲しい。(黒板に書いたり、プリントを配布するなどの方法をとって欲しい。)
・講義中の板書がたりない。
・ノートティカーがその講義に興味があればまじめにやってくれるが、そうでないとまじめにやってくれない感じがする。
・障害者に理解を示さない教授が全てではないが多々いる。
・車椅子を使用する人たちのことを考えて全ての棟にエレベーターと学内にもスロープを増やすべきである。

・休講のお知らせなども教務課に行けば教えてくれるし、友達も教えてくれる。講義中でも教授が声を使って説明してくれるし、教務課にも展示で打ったレポートを文字に変えてくれるので大変助かっている。

2 現在の制度(ノートティクシステムや対面朗読など)について何かあれば教えてください。(よい点や改善点など)

・ノートティクシステムが制度されているところはよいが、制度の中で保障されているコマ数が少なすぎる。
・ノートティクシステムだけでは足りないため、手話通訳を設けて欲しい。
・手話通訳をつける必要はあると思うが、学生が自主的にやるものであるから、外部の通訳士を呼ぶ必要はないと思う。
・ノートティクが保障されているコマ数が少なすぎる。コマ数を増やし、そのかわり、大学側からノートティカーへの謝礼金は少し差し引いてもいいのではないかと思う。
・ノートティクの保障されているコマ数を増やして欲しい。
・ノートティクをお願いしたが、ノートティクの人が来てくれない。ほかの人に代わって欲しい。
・ノートティクが保障されていなくても同じ講義を取っている学生に頼めばたいがいは引き受けてくれるので、コマ数の少なさは気にならない。
・対面朗読では特に困っていることはない。朗読の時間もたくさんあり、助かっている。
・ノートティクのおかげで授業の内容がわかるのでありがたいと思う。
・聴覚障害といっても十人十色。みんな同じではない。よって手話の分からない人もいる(中途失聴者等)。こういう人たちのことも考えたシステム、情報保障をしてほしい。
・和光大学は対面朗読の制度やノートティクの制度もしっかりしていて大学側の保障がきちんとしていていいと思う。
・和光大学までの道が狭くて怖い。
・学バスを使うときは優先席に座らせてくれるが、雨の日など、混んでいる場合は周りの人に押されて怖い。
・対面朗読は週に二回あるが、今のままで十分だと思う。
・エレベーターのない施設もあるが、そこの階段を登るとき、周りの人に頼まなければいけないので気を使う。
・車椅子用のトイレがないところで講義を受けているときに、トイレに行きたくなってもトイレのために周りの人に頼むのは気が引けてしまって我慢してしまう。

〜まとめ〜

<制度面>
和光大学では学内の講義の保障として「ノートティクシステム」、「対面朗読」、教務課に点字レポートを持っていけばすみ字にしてくれるシステムがあります。

ノートティクシステム
・登録できるコマ数が少なく、(1、2年生は3コマまで、3、4年生は2コマまで)全ての講義の保障でできていない。
・プロゼミ、ゼミなどの討論保障に限界がある。内容を知るのみとなり、討論には参加できない。
・学内の講義保障は講義内容に限定されており、講演会などのイベントにはノートティクシステムは活用できない。それ以外の何らかの保障もない。
・ノートティカーがノートティクをしてもらえないこともあり、講義が保障されていない。

<施設面>
・B棟には身障者用トイレ、エレベーターがない。

<移動面(交通も含め)>
・階段の上り下りを頼まなければならない。しかし、みんな忙しいので頼みにくい。
・車椅子用の改札口が片側のみであり、エレベーターのある駅で乗り換え、おりかえさなければならない。
・駅前は道が狭く、車と接触しそうで怖い。
・石だ多美による段差の判断のしにくさ。
・学バスの本数によるつめ込み乗車が怖い。

<要求>
・登録できるコマ数の増大
・手話通訳による講義保障(外部派遣、学内学生)
・講義だけでなく、講演などイベント時における手話通訳、ОHPによる保障
・学内窓口(学生生活課、教務課)との交渉の際の手話通訳による保障
・車椅子の人のために学内全部にスロープをつけて欲しい

文責 人間関係学部人間関係学科 田口 文子
石原 由紀子

 

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