@絵本と児童文学の基礎知識と全体像をつかむ
ゼミナールのテーマが、カリキュラムに科目として配置されていない内容のため、
まず基礎的知識の獲得と絵本と児童文学の全体の地図を描くことができるようになることに力を注ぎます。
したがって最初は過去に出会った好きな本を出し合い、どんな内容のものか確認し、
なぜ好きだったのだろうかと、対象化する作業をします。
作品の受けてから子どもに与える立場になりつつあるため、
作品分析と評価の力を徐々につけて行かなければならないからです。
A読み聞かせ(語り)をみがく
たくさんの絵本検討をする過程で、読み聞かせ(語り)の技術をみがいていきます。
作品のテーマを把握して自分のいくつかの声を使い分けられるようにして、
相互応答の語りの世界を作れるよう、体験を蓄積していきます。
語りの力は、借り物でなく自分らしさの表現と対象(主として子ども)との
相互応答の感覚を維持することによって、みがかれていきます。
B作品研究
作品研究は、ゼミナールでの最も重要な学びになりなす。その作品をどの視点で理解し
作者のメッセージを読み取るかは、各自の感性と教養とそれを表現する言葉の力が問われることになります。
答が一つではない、視点を変えると別なものが見えてくるので、喧喧諤諤の討論になっていきます。
作品を、嗜好でみるだけでは解釈の言葉につまるものです。分析し評論の世界を作り上げていくのです。
その場合、ストリーとテーマ性だけではなく、絵の表現、技法、構成など多面的な切り口から作品研究することになります。
C作家研究
作品研究にも作家論は付帯するものですが、作家の作品と生活史を研究する作家研究があります。
自分の好きな作家について研究することによって、その時代の理解と作家の内面にも出会えるものです。
文献に当たっていくと、著者によって解釈や評価が異なるのもまた面白いものです。
D絵本の制作、児童文学の創作
自分だけのオリジナルの絵本を制作したり、児童文学を創作してみます。これは苦手な人がいるので、
可能な人がやることになります。たくさんの作品を読んでヒントを得ることと、普段からそうとうの期間をかけて、
素材になるものを溜め込んでおかなければなりません。児童文学は、自分の体験が素材の一部になる場合もあります。
E福祉関係の絵本と児童文学の研究
社会福祉専攻ならではの立場から、福祉関係の作品研究します。障害児(者)関係の本は、
すでに60冊を超えて出版されているし、お年寄りをあつかった本も30冊を超えています。
そこに多くの作品を福祉の視点から光を当ててみると、作品解釈に厚みが出てくるものです。
かつて卒論には「絵本の中の父親像」、また「ジェンダーの視点からみる児童文学」といったものがあり、
社会福祉専攻ならではの絵本と児童文学のゼミナールだ、と思ったものでした。
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