上田 |
上田和宏 教授 【経済学部長】
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福田 |
福田まり さん 【経済学部】
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福田 |
少し緊張していますがよろしくお願いします。
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上田 |
よろしく。大学では、どんな研究をしているのですか?
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福田 |
JA(農業協同組合 Japan Agriculture)の調査研究をおこなっていて毎週月曜日に知多厚生病院で
勉強会の真っ最中です。知多半島の高齢者や全体の人口推移などを調べ、2015年度高齢者受け皿の可
能性、特にJAがどう関われるかについて研究しています。
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上田 |
なるほど施設を作ればよいのかもしれないけど、自治体はお金もないし人材もいない。どうしたも
のかと困っている様子だね。JAがどこまで関われるかが課題なのかな。4年生での卒業研究論文
で研究の成果をだせるといいですね。
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福田 |
それを目標にしています。2011年4月から、経済学部と福祉経営学部が統合された訳ですが、
今の福祉経営学部はどうなるのでしょうか?
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◆専門から総合化へ
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上田 |
福祉経営学部通学課程は、在学生のみなさんが卒業するまでは、なくなりません。心配しないでください。
どこの大学も学生募集は厳しいですよね。その中で、入学した学生一人一人をきちんんと教育し、
社会に出て通用する人材として育てることができるかどうかが、これまで以上に大学に求められて
くる使命だと思います。人材養成という点では、専門家養成をし、社会に還元していくことも大事
だけれど現代の急激に変化している社会では、広い視野と応用力を持って、経済や経営、医療・福
祉などの知識を「総合化」して使える人材が求められているんです。
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福田 |
福祉経営学部のことは安心しました。ところで、2つの学部が1つになることにより先生のおっし
ゃる「総合化」ってできるんでしょうか?
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上田 |
フィールド活動を中心として地域に視点を置き、地域経済や社会の活性化へのプランニングを目指
す経済学部と、人間にとって重要な医療・福祉・健康分野をビジネスやマネジメントの視点からと
らえ、新しい方向性の提案を目指す福祉経営学部が一緒になることにより、地域と人間を点ではな
く、全てがつながった面として考えていけるような研究活動や人材養成ができると思っています。
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福田 |
なるほど、それが時代に適応できる「総合化」ということなんですね。それを具体的にどのように
展開されていかれるのでしょうか?
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◆有機的な学習を実現
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上田 |
新経済学部には、2年生から地域経済・ファイナンス・ビジネスマネジメント・医療福祉マネジメ
ントの4つのコースを設け、コースには、理論学習と地域で学ぶフィールド学習がつながりを持っ
て科目として配置され、将来の進路を想定しながら学習できる仕組みを考えています。
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福田 |
そうするとコース選択=進路選択ということになるのでしょうか?2年生で自分の進路を決めるの
は、なかなか難しいと自分自身を振り返ってみてもそう思います。
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上田 |
そうなんですよね。そこに新しい仕組みをプラスしたいと思っているんです。つまり、コース選択
は自分が学習を進めていく上での指針としながら、そこで学習している科目をいくつかの進路を想
定した「パッケージ」にすることにより、自分が何を目指して学習しているのかやパッケージの科
目が関連した内容であることを学びながら実感できることになります。
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福田 |
なるほど。わたしたちは、表示されている科目を卒業単位修得と時間割配置で選択して学習してい
るのですが、「この科目なんで勉強しているんだろ?」と学ぶ必要性について考える時もあります。
上田先生のおっしゃったことは、科目を学ぶ意味と社会とのかかわりみたいなものが学習を通して
見えてくるような気がします。それこそ「科目が有機的につながった学習」っていうことなんですよね。
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上田 |
なかなかうまいことをいいますね。学ぶということは、単に知識を修得するだけではなく、学んだ
ことを自分が将来どう生かしていくかも考えていくことなんですよね。そういう意味で科目が「有
機的」につながっているという表現はフィットする気がします。早い話が福田さんみたいに様々な角
度から物事を考え自分なりに理解しようと努力する人材を育てたいということなんですよ。
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◆地域研究プロジェクトへの挑戦
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福田 |
科目間のつながりをコース学習とパッケージ学習とでうまく工夫をされるようですが、最初に上田
先生がおっしゃっていたフィールド学習とのつながり方っていうのは、どのようにお考えなんでしょうか?
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上田 |
経済学部にも、たくさんの女子に入学してもらって元気な学部にして欲しいと思っていますので
今度の新経済学部は、経済学を「女子目線」から見ることができるように生活により密着した分野
の研究を重視しています。たとえば、環境問題をどのようにとらえ解決し、かつ身近な事業として
提案できるかを追究する科目として「環境ビジネス」、自分たちの住む地域を理解し、生活しやす
いように活性化する方策を追究する「地域学」や「観光ビジネス」などを配置しているんです。
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福田 |
おもしろそうな科目が開講されるんですね。「女子目線」という言葉にはひかれます。どうして
も経済学部だと難しそうな理論学習のイメージが強いので、自分たちが生活している身近なとこ
ろでの経済学という発想がもっとあるはずなんですよね。それは、案外女子が得意とする分野だ
と思います。それをうまく生かしてもらえるような仕組みを作ってもらえれば、女子からみても
もっと魅力のある学部になりそうな気がします。
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上田 |
美浜キャンパスは、緑に囲まれ、海もきれいに見えるし、きれいな夕焼けも見られるし、自然が
キャンパスを包んでくれているでしょ。経済学部の学生たちは、地域の農家から休耕地・農機具
を借りて、田んぼ作りをしています。そこで育った稲を大学の生活協同組合が買い取り商品
化するプロジェクトを実践しました。生産から商品化までの一連の流れを経済学の視点
から研究している一つの事例になりますよね。
また新たに地元の醸造会社にご協力いただいて”のせる醤油「福だまり」"の商品開発もすすめ、
マスコミにも取りあげられました。
知多の特産物を生かした新しいプロジェクトも新経済学部でできるといいのですが、元気な女子
が新経済学部に入学して、ぜひ考えてもらいたいですね。これまでにない「経済学部カラー」を
作っていって欲しいものです。「トライできる学部」として経済学部が新しい境地をひらくチャ
ンスが2011年度だと思っています。
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福田 |
経済学部、活気がありそうで、なんだかワクワクします。上田先生のお
話を1つ1つお聞きして、それらのお話はみんなつながっていて、それが大きな面になって新経
済学部に入学してくる学生たちを包み込み大切に育てていくようなイメージがわいてきました。
本日は、お忙しいところお時間をいただきありがとうございました。
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